世界自然遺産登録される前、2021年3月に奄美大島を初訪問。3日間の滞在で、天気は大半が曇りであり、日が差す時間帯も雨が降り出す時間帯もあった。道中は、車窓を開けているだけで鳥の鳴き声が聞こえ、ラジオいらず。道路の狭さがネックで、“観光地”に行く道すらも対向車が来ないかとヒヤヒヤしながらハンドルを握る、その環境を除けば天国のような島であった。
空港に降り立った15時は日が強く、念願の奄美ブルーを拝めた。着陸のアプローチもシートAからは、すでに用安海岸の海が綺麗に見えていたが、目の前に広がる土盛(ともり)海岸は沖縄の海より美しいthe best。空港から県道82号、601号線を北上して10分程度で到着する今旅のハイライトとなった海岸。とにかく青い、別名「ブルーエンジェル」とも呼称される。
海中にある岩の黒さや砂浜の白さ、草木の緑が、海色に対比するコントラストをなして、その青さが引き立っていた。まだ、海開きをする1ヶ月ほど前であり、訪れた時は、人がおらず静寂としていてTHE 贅沢な時間。ただ、駐車場が5台ほどしか停められそうもなく、7-8月はどうするのだろうか‥とも思った。
あやまる岬観光公園からの土盛海岸を見ると海岸近くの青さが目立つ。
ここ、あやまる岬は、岬の形が乙女のアヤで作られた手鞠に似ているため、このような名前になったとされている。もっと「ゴメン(すーみゃーおらん)」にひっかけてダジャレでPR(町おこし)すれば良いのに‥ちなみに駐車場は数あって安心、カフェには「塩豚バーガー」なる目玉商品もあって風光明媚の良いところ(食べたかった)。
MISHORAN CAFE:https://ayamaru.amamin.jp/e730876.html
初日の太陽に全集中して、夕日を拝むべく県道601号線を利用して島の西側に。赤木名(あかきな)でと思ったが、距離も近く時間が早く着いてしまったので諦めた。代わりに少し南に位置する崎原(さきばる)ビーチへ。ここは道が難所。打田原(うったばる)海岸まではロマン街道で行きやすいが、最後の1km(約4分)は対向車がきたらアウト。打田原集落から左折する瞬間から緊張が走る。
この打田原海岸でも十分な綺麗さ。「わ」ナンバーの女子3人組はこちらで楽しんでいる模様であった。とはいえ、奄美No.1の呼び声もある崎原ビーチ、行って良かった。雲も多かったが、海も砂浜も綺麗だし、土盛よりも秘境感もある。今回は、17時と夕刻だったので逆光であったが、午前中は順光で間違いなく綺麗。
翌朝は、南の観光地を攻める。県道79号線(島の西側の海岸線を走る県道)を使って南進し、途中ウミガメの産卵地として有名な国直海岸を経由するなどのんびりと行く。さらに南進すると今里集落に到着。集落からは、海に浮かぶ岩の島「立神」が見える。
立神は、古来より神が降り立つ地として信仰の対象であった。今里集落の路地は全て立神に向かっているとのこと。そして、神はネリヤカナタという神々の住む方丈の国から舞い降り立つ。このような立神が、奄美大島には15ヶ所あり、各集落の信仰はもちろん神聖な場所としての凜として存する。
それまで79号線は海岸沿いが主であったが、今里集落を過ぎると山に入る。そして、芦検(あしけん)集落に向け、県道と分かれると山下に大良川が流れ、木々の隙間を覗いて見た。
そして、焼内湾まで出ると、再度県道79号線に合流し、湾を横目に宇検村役場を通過して、アランガチの滝を見に行くべく県道85号線に入る。滝の入り口は、「え、ここ?」と思うような私有地のような広場空間が広がっている。そして、あんじょう道が狭い。
ただ、県道85号線からは、車でも3分ほどと辛抱も少ない。駐車スペースは、3台ほどと少ないのも慣れてきた、仕方ない。入り口の広場っぽいところには、トイレもあってスペースも広く、対向車の不安を避けるならこちらに停めた方が良い(歩いても10分かからない距離なので)。
そして、アランガチの滝。他に人がおらずで、マイナスイオンを全て吸収できた。落差30mの瀑布、源流は霊峰である湯湾岳からとパワースポット。
アランガチから県道国道ともに58号線をつかって住用にある黒潮の森マングローブに。道の駅でもあり、施設インフラは適当で安心。紛らわしいのは、この施設内に有料ゾーンがあるが、ゾーン内はグランドゴルフなどでマングローブを見るためのゾーンではないので注意が必要。ゾーン横の住用川沿いを歩くと、カヌー乗り場があり、その横に展望台へ続く階段が。ここを登るとマングローブを見渡せる。
少し残念なのは、広大なマングローブ!ではないところ。71haで国内2番目の大きさではあるけど…道路や建物も見えてしまうのが残念。
その後、瀬戸内町内をドライブして、ヤドリ浜を目指す県道626号線の途中に、見晴らしの良いマネン崎展望所がある。嘉鉄集落を望む湾をなしているが、相当に綺麗な海を見下ろすことができる。嘉鉄湾以外にも、大島海峡越しに加計呂麻島も見える。晴れていれば…と残念。
さらに県道626号線をヤドリ浜に向けて車を走らせると、海中に電柱がたくさんのエリアを通る。ホノホシ海岸との分岐点であるが、異様な光景である。のちに調べたところ、エビの養殖所とのこと。エヴァンゲリヲン的な世界観であった。
南部のエリアのハイライトは、陸の孤島とも評される「西古見(にしこみ)」の集落。瀬戸内の中心部から県道79及び627号線を使って1時間以上、そして何十キロも幅員が狭い道。今回のドライブでいちばん神経を使った道程。近畿大のマグロをはじめ、集落毎の入江では養殖も盛んであった。 西古見集落は、夕日が綺麗な集落であり、何と言ってもサンゴの石垣が集落を形成している。奄美大島でも稀有となった景色である。
そして、西古見は、三連立神に見守られた集落である。左から、沖の立神(ウキヌタチガミ)・中の立神(ナハンノタチガミ)・根の立神(ネッヌタチガミ)と呼ばれる。今里のそれとは異なり、存在感は決して強くない。ただ、陸の孤島で三連の立神を見ると、心が休まる。
最後は、北部にある二つの神社を訪れた。一つ目は、蒲生(がもう)神社。蒲生崎観光公園にあり、平家伝説のある神社。本当は、鳥居をくぐって奥まで行きたかったけど、天候と飛行機の時間で断念した。それに、薄暗いとハブもいそうで勇気の必要な神社。
ちなみに、同公園までは県道602号線から畑のある農道チックな道に入り、これも狭い道を3kmほど登って行く。運良く、回避しやすい場所で対向車がきたから良かったもののタイミング合わないとバックも大変そうな道。
そして二つ目は、奄美を作ったとも言われる阿麻弥姑(あまみこ)神社。空港からも5分程度と非常に近い節田(せった)集落にある、アマミコという女性の神を祀る。内地とは雰囲気の異なる神社でした
奄美よかった、個人的には沖縄よりも自然豊かで、ドライブしていて気持ちが良い。ただ、夕刻や曇りによる薄暗い遊歩道はハブの怖さもあり、本来行きたい箇所も勇気との戦いだった。高知山展望台もハブの看板と竹の棒を目にした時、薄暗い中では勝ち目がないと判断して駐車場で断念もした。また、道も狭いのでなかなか手放しではドライブも楽しいとは言えない。自然豊かの裏返しであるが、そんな魅力が奄美大島の良さなんだろうと感じた。